2012年2月29日水曜日

回路

#twnovel 北風が吹き抜けた。「そう言えばさ」唐突に思い出す。「夢を見たんだ。冷たくて引き裂かれそうで、激痛が走って目覚めたらベッドに手を打ちつけてた。これって脳の回路がおかしくなったせいなんだって」ふいに彼女が僕の腕を抱き寄せた。「あなたは、私のカイロです」うん。大丈夫。

時間軸に

#twnovel 「お昼はうどんね」今日の妻の言動は昨日と全く同じだ。うるう年で時間軸に綻びが生じたのか?「新しいバッグ、買ってもいい?」昨日と同じ問いかけに僕も合わせる。「いいよ。明日な」妻の顔から笑みが消えた。「あなた、昨日の明日は今日よ」うどんは単に家計の節約だったらしい。

紡ぐ

#twnovel 交わした愛と交わせなかった愛の数だけ物語を紡いでいる。そう話すと君は首を傾げた。全て過去形なのね。私との物語は別れてからじゃないと紡げない?僕は首を振る。たった今交わした言葉さえ刹那の後に過去に変わる。交わした愛か、交わせなかった愛か、それは紡いでから解るもの。

2012年2月28日火曜日

骨董店にて

#twnovel 頑固親父の骨董店には美しいランプが鎮座している。「こいつにはとびきり上等な女の精が宿っている」奥さんが淹れたお茶を飲みつつ、これだけは譲れないと話すのが彼の口癖だった。彼の死後、店は取り壊された。あの優しそうな奥さんは忽然と姿を消し、ランプの行方も知れない。

2月30日

#twnovel 友人宅に飾られた2月のカレンダーは30日まであった。あれ、うるう年は29日までじゃ? 「よく見ろ。14日が抜けてるだろ。30日はその代わりだ」モテない男の自衛策に俺はすっかり感心した。「同じ理由で3月は32日まである」返す当てがないのにそこまでやらなくても…。

鈍感

#twnovel 渡されたハンカチを畳んでいるところに友人がやって来た。「どうした?」「さっき隣のクラスの女がぶつかってきてお茶がこぼれた。あいつ絶対わざとだぜ」「鈍感な奴だな」「どうせ俺は反射神経が鈍いよ」俺を見て友人が溜め息をつく。「馬鹿。故意に理由はあるが恋に理由はないぞ」

穴があったら入りたい

#twnovel 「穴があったら入りたい」との言葉をヒントに、時の州知事が「入りたくなったら逃げ込む穴」を考案した。家族で入りたいとの需要から穴は大型化し、ハウスメーカーを立ち上げて一大産業となった。「これが、カリフォルニア州アナハイムの名前の由来です」「みんな、信じないように」

2012年2月26日日曜日

#twnovel 「うちのじいさんが町の最高齢登山家ってことで表彰を受けたんだけどさ、山登りを終えたばかりであいにく膝の調子が悪くてね。授賞式に出席できなかったんだ」「それは残念だったな。でも嬉しかったろうね」「ああ、『膝が笑ってる』って言ってたくらいだからね」「…それ違う」

元を辿れば

#twnovel 何億年も枝分かれした生命の営みの末端に我々は生きている。だから、元を辿ればあのハリウッドスターだって、原始生命体の頃は共に天敵から逃げた群れの仲間だったかもしれない。「あの頃は世話になりましたって言わなきゃな」「話が通じるわけないだろ!」「あ、英語じゃないとな」

隣人

#twnovel 長いこと隣人の姿を見ていない。物音一つしないし、ゴミを出している様子もない。気になって電気メーターもチェックしてみたが、どうやら止められているようだ。事件かもしれない。でも誰も真面目に取り合ってくれない。「ていうか、お前んちの隣、ずっと空室だぜ」

しんちゅう

#twnovel 「心中お察しします」とそいつは言った。あのな、そう軽々しく言わないでくれる?あんたに俺の何が分かるんだ?格好が派手だから誤解されやすいが、こう見えて俺の心は弱いのよ。鋼のように硬くはないんだ。まくし立てると、そいつは済まなそうに言い直した。「真鍮お察しします」

猫の日

#twnovel 「2月22日は猫の日。うちの店も何かやりたいよね」「名前に猫がつく人は無料とか」「猫ひろしと江戸家猫八くらいだろ、そんなの」「じゃ、名前のどこかに『ね』と『こ』がついたら無料。これならいるでしょ」「店長、どうです?」「お前ら、うちが葬儀屋だってこと忘れてるだろ」

春が来たら

#twnovel 毎日寒いねとぼやきながら席に着くと、春が来たら旅行に行こうよと彼女が雑誌を開いた。光る海に青い空、南国リゾートが眩しい。僕は少しだけ意地悪を言う。「もし来なかったら?」彼女はすました顔でページをめくった。チャペルの写真で手を止めて一言。「一生後悔させてあげる」

もう一人の

#twnovel 疲れた体を引きずって帰宅すると、暗闇の中にもう一人の自分が現れた。「今まで黙っていたが俺が本家だ。今後も俺として活動するのなら使用料を払え。さもなくば俺と入れ替えだ」俺は迷うことなく入れ替えを選ぶ。伸ばした手が硬いものに弾かれ、鏡の向こうで俺が溜め息をついた。

#twnovel 水産コーナーに激安の蟹があったので店員を呼んだ。「実はこれ、蟹風味なんですよ」風味?本物じゃないのか?「正真正銘本物の蟹です。ただ、蟹らしい味がしないのであえて味を付けています」迷っていると彼は付け加えた。「今日はタラバ蟹風味です」バスロマンじゃあるまいし。

ハザマさん

#twnovel ハザマさんは時の狭間に住んでいて、僕の人生の節目に現れてはアドバイスをくれる。そんな彼が最近妙に上機嫌だ。何かいいことがあるのかな? 訳を聞いてみた。「いいことを教えてやろう。今年の杉花粉の飛散量は例年を下回るぞ」ハザマさん、それこないだニュースでやってたよ…。

年度末

#twnovel 夜更けにふと目を覚ますと、視界いっぱいに多次元の層が積み重なっていた。その間を小さな作業員達が行き来している。「工事中につき、ご迷惑をおかけします」年度末はどこも忙しいんだな、ご苦労さん。傍らで寝息を立てる妻子が同じ次元にいることを確認して、僕は再び目を閉じた。

2012年2月20日月曜日

相手の気持ち

#twnovel 相手の気持ちを考えて、と言われたので、今まさに口に運ぼうとしている刺身の気持ちを考えてみた。痛かったろうなぁ、もっと生きたかったろうなぁ。捕まらなければ今頃大海原を自由に…「それはマグロの気持ちでしょ」妻が口を挟んだ。「刺身の気持ちは違います」…ち、違うんだ?

あたたかいもの

#twnovel 改札を抜け地上に出た途端、2人の間を冷たい風が吹き抜けた。「あたたかいものが欲しいね」辺りを見渡したけど、入れそうな店はない。ふいに絡めた腕が引き寄せられた。視線の先には一軒のカフェ。歩を向ける僕を彼女の腕がもう一度引き寄せる。「違う、これで充分って意味」

お面

#twnovel 屋台で買ったお面を上手く被れないでいると店の親父に笑われた。「兄ちゃん、まず普段被っている仮面を脱がなきゃな」それを脱いだら?僕は僕じゃなくなるの?待ってよ!「じれったい奴だ」親父の手が僕の顔をはぎ取る。新しいお面から足元を見ると、「優柔不断」が転がっていた。

2012年2月19日日曜日

タイ焼き星人3

#twnovel 人類は種の存続を賭けて応戦し、タイ焼き星人による危機は去った。しかしまだ残党が潜んでいるかもしれない。タイ焼きは厳しく規制され、所持するだけで処罰の対象とされた。「型を所持することは合法だが、そこに生地を流したら違法なんだと」「世知辛い世の中になったもんだね」

タイ焼き星人2

#twnovel 飛来したタイ焼き星人に扇動され、日本中のタイ焼きが決起した。今こそ自由を勝ち取ろう、今日がタイ焼きのインデペンデンス・デイ。政府は対応に追われ、屋台や小売店などに混乱が見られた。「タイ焼きが可哀想だから、代わりに肉まん食べない?」「豚は可哀想じゃないんだ?」

タイ焼き星人1

#twnovel 我々タイ焼き星人は地球の代表政府に対し、正式な協定締結を前提とした交渉の場と、一部の島国で日々殺戮を受けている同胞達の即時解放を要求する。「ねぇ、タイ焼きとタイ焼き星人の違いって何?」「水に入れると沈むのがタイ焼きで、つい泳ぎだしちゃうのがタイ焼き星人」

相対性理論により

#twnovel 相対性理論により新幹線の中は外の世界より僅かに時の流れが遅く、遠距離の僕達は1万年後にはお互いの時間に明かなズレが生じてしまう。君にだけ先に歳をとらせたくない。だから僕が逢いに行くだけじゃなくて、君にも来て欲しい。「って言ったら殴られた」「早く結婚してやれよ」

卒業する前に

#twnovel 卒業する前に思い切って告白しようと決意したのに、卒業したら会えなくなるから寂しいね、と先手を打たれてしまった。これはどういう意味なのか? 思いあぐねて友人に相談した。「馬鹿なことで悩むな。学食のお姉さん、ああ見えて既婚者だぜ」

重なり合う

#twnovel 出発の日から1年が経ちました。専門家の見立てでは、1年後に桃太郎が鬼ヶ島から戻る確率は50%。したがって、現状では生きている状態と死んでいる状態が1:1で重なりあっていると解釈しなければならないのです。おじいさんとおばあさんは次に備え、今日も桃を割り続けます。

見知らぬ女性が

#twnovel ある夏の日、見知らぬ女性が訪ねてきた。戸惑う僕の前で頬を赤らめる彼女。僕は半年前にバレンタインチョコの落とし物を交番に届けていたことを思い出した。婚約者へのチョコだったそうだ。「私達は結婚しますが、あなたのことが1割好きです」僕は大変申し訳ない気持ちになった。

夢で喧嘩

#twnovel デート中に彼女と大喧嘩する夢を見た。夢の中で僕は有名店の限定カレーを頬張り、彼女の白い服にシミを付けてしまった。いつも通りの笑顔で現れた彼女に夢の内容を話すと、彼女もデートの夢を見たという。喧嘩は? 彼女は頷いた。「カレーが売り切れてたから、他のにしたのよ」

2012年2月14日火曜日

セラエノの小さな物語2 ~大人になるまで死ねなかった子供たちの童話~



昨年に引き続き、セラエノの小さな物語第2弾が公開されました。前回参加の5名に加え、今回はプロ小説家、漫画家も参加して読み応えのあるアンソロジーに仕上がっています。
無料です。ぜひご覧下さい。

参加者のひとりである齊藤想さんによる紹介文はこちらです。併せてどうぞ。

ハザマさん

#twnvday ハザマさんは時の狭間に住んでいて、僕の人生の節目に現れてはアドバイスをくれる。そんな彼が、僕が書類不備で受験出来なくなる未来を見てきたと言う。どうして助けてくれなかったんだよと文句を言うと彼は言った。「親御さんに無駄な負担を掛けるな。心配ない。本命は受かるから」


毎月14日はツイノベの日! 今回のお題は「本命」です。伝えきれない気持ちでも、ちょこっとだけ140字の型にはめて。タグをつけたらラッピング。あなたにとっての"the favorite"な物語をお聞かせください。【毎月14日はツイノベの日! お題「本命」 #twnvday 】

感情

#twnovel 全ての生物が豊かな感情を有することが確認された。彼らとの意思疎通が進むにつれ、一部の風物詩が消滅の危機に追い込まれた。土用の丑の日は鰻の大虐殺であるとされ、そこへ目をつけた菓子メーカーは鰻状のチョコを開発した。しかし、カカオからの抗議によって発売は見送られた。

ライフワーク

#twnvday 「ライフワークなんて言葉があるけれど、趣味にせよ仕事にせよ、一つのことを何十年も続けるというのは傍で思うより難しいことなんだ。もっとも、夢中になっている当の本人は少しも苦にしていないわけだが」「分かっていますよ。何年あなたを見てると思ってるんですか」


毎月14日はツイノベの日! 今回のお題は「本命」です。伝えきれない気持ちでも、ちょこっとだけ140字の型にはめて。タグをつけたらラッピング。あなたにとっての"the favorite"な物語をお聞かせください。【毎月14日はツイノベの日! お題「本命」 #twnvday 】

いい思い出

#twnvday 「バレンタインデーっていい思い出ないんだよなぁ。俺、今まで一度も本命チョコをもらったことないんだ」「そうか。俺は今まで一度も義理チョコをもらったことないぜ」「凄いな。モテまくりじゃん」「間違えた。一度も義理チョコ『すら』もらったことない、だった」「…生きようぜ」


毎月14日はツイノベの日! 今回のお題は「本命」です。伝えきれない気持ちでも、ちょこっとだけ140字の型にはめて。タグをつけたらラッピング。あなたにとっての"the favorite"な物語をお聞かせください。【毎月14日はツイノベの日! お題「本命」 #twnvday 】

2012年2月9日木曜日

ハザマさん

#twnovel ハザマさんは時の狭間に住んでいて、人生の節目に現れアドバイスをくれる。そんな彼が、1年前の僕を見てきたと言う。「ついのべ書いてたよ。雪が降ったとか言って」そうか、書き始めてから今日で1年。これが500作目だ。来年まで何作書けるかな?「教えたらやる気出すかい?」

2012年2月8日水曜日

マカリトオル君

#twnovel マカリトオル君はいつも強気な人だ。生まれてこのかた、自分の道は全て自分で切り開いてきた。彼の辞書に不可能の文字はない。探求心旺盛な彼はやがて哲学に、そして宗教に真っ向から取り組みだした。生涯をかけて彼は人の営みの全てを理解した。けれど真実にはたどり着けない。

#twnovel 街中で君の姿を見掛けた気がした。そんなはずはないと心の中で否定しつつも、込み上げる感情が踊り出す。たぶん白昼夢。これで車に轢かれでもしたら洒落にならないけど、でもそしたら本当に君に会えるかもね。「バカ」君の声が聞こえた気がした。夢かも知れないけど。

2012年2月7日火曜日

ハザマさん

#twnovel ハザマさんは時の狭間に住んでいて、僕の人生の節目に現れてはアドバイスをくれる。そんな彼に、僕はチョコを幾つ貰えるのか聞いてみた。「肉親からのは勘定に入れるのか?」やめてよ、唯一貰ったのが母親からなんて。彼は少し黙った後、続けた。「分かった。特別に俺からもやる」

好み

#twnovel 放課後、隣のクラスの女子数人に呼び出された。顔と名前すら一致しない彼女達から好みなどを聞かれて戸惑いまくりの俺。「バカだなお前。それバレンタインの下準備だぞ」友人の言葉で合点がいった。「で、何が好きって答えた?」「…普通にチャーハンとか」「…困ってるぜ、きっと」

2012年2月6日月曜日

ハザマさん

#twnovel ハザマさんは時の狭間に住んでいて、僕の人生の節目に現れてはアドバイスをくれる。そんな彼に、僕は将来幸せな人生を送れるのだろうかと聞いてみた。彼は、僕の息子の言葉で察してくれと前置きしてから言った。「ありがとう。いいお葬式でした」…先、行きすぎだよハザマさん。

打開策

#twnovel いつもと違う道を帰ってみる。最近開店した総菜屋に寄り、書店で新刊を買う。ふとした折に覚える新鮮な感覚も、次の瞬間には色褪せている。退屈で死にたくなる。「ここが火星だと思ってみたらどう?」女友達がからかう。よせやい、火星は新婚旅行先にとってあるんだ。急かすなよ。

やる気

#twnovel 「やる気出します」の幟を立てた店に入ってみた。「こちらです」店員がカウンターに小瓶を置く。これを飲めばやる気が出るのだろうか。試しに買ってみることにした。「こちらに署名をお願いします」『私はやる気を出します』の誓約書を持たされ、僕は店を出た。何か騙された気分だ。

主任、

#twnovel 自分が死ぬときの気持ちを想像したことありますか?きっと怖いでしょうね。でも、同時に今まで背負ってきた人としてのあらゆる責任から解放されることを思うと、死ぬのも悪くないかなって思うんです。「だから主任、死ぬ気で仕事を取って来いとは、僕にとってそういう意味ですから」

2012年2月3日金曜日

マメマキ

#twnovel かつて世界中で悪事の限りを尽くしてきた「鬼」ですが、近世、人間によるパンツ目的の乱獲の末に絶滅してしまいました。現在、東洋の一部の国に残っている「マメマキ」の儀式は、身勝手な人間によって絶滅に追い込まれたそんな鬼達に対する懺悔の意味が込められていると言います。

恵方巻札

#twnovel お昼のニュースです。恵方巻と同じ福が得られる「恵方巻札」が物議を醸しています。これは一口サイズの細巻きとセットになったもので、これまで量が多すぎると敬遠してきた女性達の間で評判となっています。一方で、通常の恵方巻と同価格であることに対し疑問の声も挙がっており…

決め手

#twnovel 町内でも有名な仲良し老夫婦に夫婦円満の秘訣を聞いた。ご結婚に至った決め手は何ですか? ご主人が笑って答えてくれた。「確かこの時期だったかのう。節分でもしようか?とワシが豆を持って行ったら婆さんの奴、それを接吻と聞き違えてなぁ」お茶を運んできた奥様が頬を赤らめた。

召し上がる方

#twnovel レトルト食品のパッケージを眺めていたら「召し上がる方」と書かれていた。てっきり「召し上がり方」だと思っていたが違ったようだ。読み進めていくと「召し上がらない方」の項目を見つけた。「召し上がらない理由を理論武装の上、下記の住所までお越しください」何だか怖くなった。

2012年2月2日木曜日

三文の徳

#twnovel 「早起きは三文の徳と言いますが、現在の貨幣価値に換算すると幾らになるのでしょうか?」「およそ100円程度です」「それでは、早起きによるデメリットはありますか?」「野生の熊の冬期間の習性からお察しください」「分かりました。明日からの行動指針の参考にさせて頂きます」

#twnovel 連日降り続いていた雪は、居酒屋を出る頃にようやくやんだ。明日も待ち受ける雪かきを思うと嫌になる。酔いに任せ、俺は夜空に叫んだ。「降らせてる奴いい加減にしろよ。恨みでもあるのか〜」お前バカじゃねーのと笑いかけた同僚の表情が固まる。見上げた月に雪が積もっていた。

2012年2月1日水曜日

失踪

#twnovel 彼の失踪は大きく報じられました。年老いた母親や支援者達は懸命に探しましたが足取りがつかめません。金銭トラブルや拉致の可能性も取り沙汰されましたが、捜索は行き詰まってしまいました。カメの甲羅に乗って海へ潜っていったという子供達の証言は、初期の段階で無視されました。

鬼退治

#twnovel 「俺、鬼退治に行きたいんだけど」それを聞いたおじいさんは首を振りました。「桃太郎や、鬼ヶ島の入園料がいくらすると思っているんだ。馬鹿なことを言うな」おばあさんが提案しました。「ちょうど鬼ヶ島でキャストの募集をしているよ。そろそろお前も働いて私達を楽にさせとくれ」

ゼッコウアメ

#twnovel 親友にゼッコウアメを渡された。「お前とは絶交だ。口も利きたくない」ほろ苦さが口の中に広がっていく。どうしようもない後悔の念が沸き上がってくるが、アメを舐めているので口が利けない。こぼれ落ちた涙を見た親友が目を背けた。「分かったよ、じゃあまたな」甘い後味が残った。