2011年4月30日土曜日

原因

#twnovel その店にないものはないという。私は幼い頃生き別れた母はないかと尋ねた。勿論ありますよと店主は答え、やがて記憶の中の若々しい姿のままの母を連れてきた。母は成長した私に驚くばかり。「そりゃそうですよ、時空を越えてきたんですから」生き別れの原因が分かってしまった。

結局

#twnovel 美しい空を見上げていると心が安らぐが、前が見えないので危険だ。しかし視線を落とすと嫌なことばかり目に入ってしまう。そこで信頼できる人物を見つけ、その人を見続けることにした。心も安らぐし嫌な景色も目に入らない。「で、結局いくら欺し取られたの? その詐欺師に」

一度に…

#twnovel 人生の一大行事である結婚式とお葬式を1度にまとめませんか。のちに事情により個別のお葬式を希望された場合は、黄泉がえりの儀式を行い、お亡くなりの際に改めて葬儀を執り行いますのでご安心ください。「2重、3重に金を巻き上げたい意気込みがひしひしとに伝わってきますね」

2011年4月28日木曜日

SFマガジン「リーダーズ・ストーリィ」に入選しました

SFマガジン2011年6月号の「リーダーズ・ストーリィ」に、拙作「永遠の日曜日」が掲載(入選)されています。
2月に投稿したものです。
2005年3月号の初掲載から数えて、15度目の入選となりました。
嬉しい限りです。
書店にお立ち寄りの際は是非ご覧ください。
206ページから208ページです。

発明おじさん4

#twnovel 私は横町の発明おじさん。訳あって、お湯を注いだカップ麺からお湯だけを取り除く浄水器を開発中だ。「ですから刑事さん、これはいつも気に掛けてくださる御礼です。いいえ違います。焼きそばの出来損ないではなく、あくまでソースラーメンです」

発明おじさん3

#twnovel 私は横町の発明おじさん。長年の夢であった、幸せ増幅装置が完成した。この発明のために私は人生の全てを注ぎ込んだ。恋も友情も青春も、人並みの家庭を築くこともなく。「ですから刑事さん、試しに使ってみませんか?え、嫌?同じ匂いがするからてっきり同類だと思ったのですが」

発明おじさん2

#twnovel 私は横町の発明おじさん。一時期のガソリン不足を機に、エネルギー資源を効率よく利用できる車の開発をしている。近頃体調が思わしくないが、もうひと頑張りだ。「ですから刑事さん、何もやましいことはしていません。え、なんですかそれ。ガイガーカウンター? 振り切れてる?」

発明おじさん1

#twnovel 私は横町の発明おじさん。乾燥機付き洗濯機に、乾いた洗濯物を畳む機能を搭載してみた。さらに脳波を読み取って望んだ服を取り寄せる仕組みも実験中だ。「ですから刑事さん、私は下着泥棒ではありません。タンスや洗濯機の中にある女性物の下着は近所の家から誤配送されたものです」

入れ替え薬

#twnovel 明日と昨日を入れ替える薬を飲んだ。これで明日の競馬の結果を知ることができると期待したが、世界は何も変わらない。明日の記憶もないし、財布の中はスッカラカンだ。やがて頭痛と吐き気が襲ってきた。友人が言った。「それ、明日の競馬で外したヤケ酒のせいだと思うぜ」

2011年4月25日月曜日

ネジ穴

#twnovel 背中に緩んだネジ穴を発見した。父に頼んで締めてもらうと思考がクリアになった。頭脳明晰、気力充実。僕はたちまちクラスの人気者になった。なのに幼馴染みのあの子はちっとも喜んでくれない。僕は父にネジを緩めて欲しいと頼んだ。父は溜め息をついて母を見た。母は笑っていた。

さくら

#twnovel 「子どもが生まれたんだって?おめでとう。なんて名前?」「さくら。女の子だよ。桜の季節生まれだからね」「そりゃいいね。俺の大好きな名前だよ。食べちゃいたいくらい」「は?」「ほら、俺、馬好きじゃん。見るのも食べるのも」「お前は絶対娘に会わせねぇ」

2011年4月23日土曜日

過去回顧図

#twnovel 「未来予想図って曲あるじゃん。それに対抗して過去回顧図って曲を作ってみたんだけど、聴いてみない?」「嫌だよそんなの」「連れないな。何でよ」「だって酔っぱらったときのお前のグチにメロディを付けただけだろ? もう聴き飽きたよ」

怪談・お題「ファミレス/まさぐる/残り香」

#kaidan_odai しきりに腹の辺りをまさぐっていた向かいの席の男が、ニタっと笑いながら何かを引き抜いた。「探してらしたんでしょう?」べったりと血のついた包丁がテーブルの上でゴトリと音を立てる。俺は恐怖のあまり店を飛び出した。生臭い残り香がどこまでも追って来る。


hiro_kinakoさんは「ファミレス」で 登場人物が「まさぐる」、「残り香」という単語を使った怪談を考えてください。 http://shindanmaker.com/94450 #kaidan_odai

走馬燈

#twnovel 走馬燈を買ってみた。人生で見た全ての風景を全自動で記録し、心拍数や血流量によってハイライトシーンを識別し編集したものを今際の際に見せてくれる。それから半世紀、死の床に就いた僕の傍らで走馬燈がゆっくり回り出した。街中で目移りした見知らぬ女性の姿ばかりを映して。

2011年4月21日木曜日

夫婦喧嘩の種

#twnovel 夫婦喧嘩の種を買ってみた。水をやると携帯電話の履歴が生え、口紅のついたワイシャツの葉が伸びた。ホテルの領収書の花が咲き、やがて私達夫婦の子供にそっくりの実がなった。私とは似ても似つかない一人息子。物音に振り向くと顔面蒼白の妻が包丁を握りしめていた。

暇つぶし

#twnovel 「人生は死ぬまでの暇つぶし」と捉えているせいか、鬱状態の絶望感は半端じゃない。私がどんなに絶望しても世界は平常運転で回る。休日ダイヤにもなりゃしない。夕方5時のチャイムに腰を上げると向かいの総菜屋が見えた。揚げたてのコロッケを頬張ろう。いいよね、暇つぶし中だし。

直ちに…

#twnovel 子供の頃いじめられっ子がいた。「2m圏内に入ると感染するぞ」と囃し立てられる彼が不憫で僕は叫んだ。「直ちに影響はない!」思えば当時テレビでよく聞いたフレーズなんだろうが、あながち外れてはいない。感染して20年経った今、あの頃口も利かなかった彼は無二の親友だ。

単身赴任

#twnovel お隣さんはご主人が単身赴任中。奥さんは毎日幼い子供の送り迎えや家事で忙しそうだ。ご主人が帰って来るのは月に1、2度。1度も帰ってこないこともあるらしい。大変ねぇと気遣うと、奥さんはあっけらかんと笑った。「経済的なのよ。1度も帰らない月は基本料金だけで済むから」

NG登録

#twnovel 手の甲にNG登録ボタンがついた。嫌な奴に向けてボタンを押すと、お互いに相手の存在が認識できなくなる。元来いじめられっ子気質の僕は次々に周囲の人間をNG登録した。晴れやかな気持ちになったが、やがて寂しくなって登録を全て解除した。でも、いくら待っても誰一人現れない。

2011年4月20日水曜日

世界の半分が…

#twnovel 世界の半分が滅びました、とテレビが告げた。そんなことよりさ、と彼女が笑う。ホットケーキ焼けたよ。食べない? その言葉に弾かれるように時計を見た僕は、ネクタイを結び、鏡に映る寝癖を気にかける。甘い匂いに包まれながら、僕らは残された世界で今日も過ごしている。

夢の中で

#twnovel 友人が夢の中で俺と大冒険をしたそうだ。朝から妙にだるいのはそのせいかと思い出演料を要求すると、奴はきょとんとした表情で言った。「そのあとお礼に夢の中で焼き肉おごったじゃん。お前、20人前くらい食ったよな。人の金だと思って」朝から胃もたれしてる原因はそれか。

目覚めると月面

#twnovel 目覚めると月面にいた。職場に連絡を入れようにも携帯が圏外だ。僕は覚悟を決め、人類が二度目の月面着陸を果たすまでじっと待つことにした。「で、向こうで30年過ごして帰ったら、こちらではまだ3時間しか経っていなかったというのが事の顛末でして」「それが遅刻の言い訳か?」

居場所

#twnovel 身を粉にして働いて帰宅する愛しの我が家。しかし私に対する家族の態度は冷たい。追われるように家の中を彷徨い、私は階段下の掃除用具入れに自分の居場所を見つけた。掃除嫌いの妻がたまに気まぐれで扉を開けたりするが、特に不満はなさそうだ。気を遣ってすぐに閉めてくれる。

自律神経

#twnovel 体調が優れないので病院で診察を受けたら、自律神経出張中と診断された。出張なので、じきに戻って来るらしい。「それと…」医師は耳元でそっと囁いた。「当然出張手当も出ますよ。あなたの場合、長期出張でしたので、かなりの額がね」私は晴れやかな気持ちで病院をあとにした。

2011年4月18日月曜日

命の花

#twnovel 命の花が開花すると、そこには亡者が群がる。無数に咲き誇る花のうち、本物はたった一輪だけ、チャンスも一度きりだ。当たりを引いた者は再びこの世に生を受け、他の者は次の開花を待つ日々に戻る。当選者の発表は発送をもって代える仕組みなので、誰が当選したのかは分からない。

三途の川

#twnovel 社員旅行中の自動車事故で命を落とした僕達一行は、揃って三途の川のたもとに下ろされた。桟橋の傍らには「渡し賃:六文」と書かれた看板が出ている。幹事の僕が全員から六文ずつ集金していると、渡し守が出てきてこう言った。「25名様以上ですので団体割引が適用されます」

哲学の道

#twnovel 「人生をぼんやりと送っている奴は馬鹿だ」と思い、僕は哲学の道を歩き出した。途中で屋台の「人生哲学クジ」をひく。紐に縛られた様々な人生の陰に、転落や破滅の箱が隠れていた。慎重に紐を見極めていると親父が言った。「さっさと引いてくれ。当たりなんて入ってないんだから」

2011年4月15日金曜日

怪談・お題「ラブホテル/なき出す/お札」

#kaidan_odai 「なにこの部屋。お札ばっかりで気持ち悪い」「当然だろ。それが売りなんだから」心霊スポット風のラブホテルなんて、経営者は相当趣味が悪い。シャワーから上がった俺を見るなり、女が泣き出した。「じゃあ貴方の背中に乗ってる女は誰!?」…見えてるのか、こいつ?


hiro_kinakoさんは「ラブホテル」で 登場人物が「なき出す」、「お札」という単語を使った怪談を考えてください。 http://shindanmaker.com/94450 #kaidan_odai

狭間の店

#twnovel 「去年のお花見がしたいのですが、まだできますか?」やつれきった表情でそう尋ねた女を、私は店の奥に促す。振り返ると、満開の桜の下を夫や子供と一緒に弾むように歩く後ろ姿が見えた。時空の狭間で商売をしていると様々な客に出会う。彼らは木戸銭代わりに「未練」を置いて行く。

2011年4月14日木曜日

ついのべの日・お題「私の秘密」

#twnvday 「長い間黙ってて悪かった。実は俺、ずっとハゲズラを被っていたんだ。初対面のあの日、親しげにカミングアウトするお前に本当の事は言えなかった。でもそれも終わりだ。俺もすっかりこのザマさ。歳は取りたくねぇもんだな」カツラを外し友の墓に参る。長年の肩の荷がやっと下りた。

4月14日の「ついのべの日」のお題、「私の秘密」。
「秘密=カツラ」というのはあまりにも安易な発想。しかし、友のために長年ハゲヅラを被り続けた男の生き様となるとどうでしょう? いや、やっぱダメか。

彼女の秘密

#twnovel 付き合い始めたばかりの彼女は、秘密なんてないと笑った。でも僕は、コンビニでバイトしているはずの彼女が、その時間帯に大病院に出入りするのを何度も目撃していた。病気なのか?それとも家族が入院中とか?慎重に言葉を選び問いただす。「バイト先、病院内のコンビニなんだけど」

日程変更

#twnovel 「震災の影響で今年の学校行事は色々と日程変更らしいね」「まぁ、入学式もかなり遅れたしな」「創立記念日も動いたらしいよ」「そんなバカな」「いや、確かに動いてるよ。中庭にあったやつが20センチほど。古い学校だし仕方ないね」「それは創立記念碑だろうが。100周年の」

父の仕事

#twnovel リストラされた父は最近、新しい仕事を見つけたと言って夜な夜な家を出る。どうも怪しい。部屋を漁ると女物の服が出てきた。女を作ってる場合かよ!俺は覚悟を決め、父の跡をつけることにした。繁華街の裏路地に入り鮮やかなネオンの扉を開ける。…女装して出迎えた父と目が合った。

2011年4月13日水曜日

覚えのない名刺

#twnovel 財布の中身を整理した。レシートや割引券、会員証…これだけでも結構な量になる。その中に、覚えのない女性名の名刺を見つけた。以前同僚に連れられて行った飲み屋のもののようだが、酔っていて記憶がない。気になって電話してみると、台所で料理をしている母の携帯が鳴った。

2011年4月11日月曜日

怪談・お題「オフィス/捨てる/火事」

#kaidan_odai 倉庫には、些細な彩色ミスのために全品回収された人形が山積みされていた。彼女達は流出を防ぐため、焼却処分される運命だ。「俺らを恨んでここで燃えて火事になる、とか」茶化す部下を俺は怒鳴りつけた。「馬鹿言うな。帰るぞ」無数の視線を振り切って、逃げるように。


hiro_kinakoさんは「オフィス」で 登場人物が「捨てる」、「火事」という単語を使った怪談を考えてください。 http://shindanmaker.com/94450 #kaidan_odai

記憶

#twnovel 記憶を消し去りたい、美化したい、様々なお客さまが訪れますが、当店はどちらもお勧めしません。むしろ良い思い出も忘れたい嫌な過去も混ぜ合わせるべきなのです。程良くブレンドされた記憶は霞がかったように曖昧で儚く、精神安定に大変効果があります。真実は一つとは限りません。

古い玩具2

#twnovel ネットオークションに古い玩具を出品したら、落札したのは幼馴染みだった。偶然の再会を喜んだが、彼は俺を泥棒呼ばわりする始末。誤解だ。これは間違いなく俺が持っていた玩具なのだから。段ボールで自作したロボットを抱え、たった一人で佇んでいたあいつの顔が脳裏に浮かんだ。

古い玩具1

#twnovel ネットオークションで古い玩具を落札した。幼い頃の宝物、超合金のロボット。これを持っているだけで友達の間でヒーローになれた。なくした時は大泣きしたものだ。はやる気持ちを抑えて手続きを進めると、ふと出品者の名前に既視感を覚えた。住所は実家の近く。お前が盗んだのか!

催眠術

#twnovel アルコール依存症の父のために催眠術師を呼んだ。徳利に注いだ水道水を、これはお酒ですと暗示を掛ける。作戦は成功、父は毎晩水を飲んで上機嫌だ。問題は、暗示が徳利ではなく水に対してだったこと。今日も父は職場近くの定食屋でお冷やを口にしては、亭主相手にくだを巻いている。

仕事をなくした

#twnovel 仕事をなくした。勤め先を探してもハローワークに行っても見つからない。困って交番へ行ってみると、幸いにも僕の仕事は拾得物として届けられていた。しかし中身が少し減っている。お巡りさんが言った。「一割は拾った人に分けてあげてください」これがワークシェアリングか。

2011年4月7日木曜日

恋愛・お題「朝の車内/告白する/コーヒー」

#rendai 家が近いので、出勤時は先輩の車に乗せてもらっている。「缶コーヒー買いに停めるよ」彼を異性として意識し出してからはこの時間がとても苦しい。いっそ吐き出してしまおう。「…好きです」「コーヒーが?」「いえ、先輩が」掴み損ねた硬貨が宙を舞う。動揺しすぎでしょ、ちょっと。


hiro_kinakoさんは、「朝の車内」で登場人物が「告白する」、「コーヒー」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927 #rendai

将来を売る店

#twnovel その店では将来を扱っている。些細な将来は安価で、大きく幸せな将来になるほど高価だ。そこの看板娘に恋した僕は、意を決して店を訪れた。「この、とびきりの将来が欲しいんです。でもお金が足りない」すると彼女は頬を赤らめた。「私もです。…二人で半分ずつ出しませんか?」

怪しげな店

#twnovel 散歩で通る道すがら、怪しげな店を経営している老夫婦がいた。彼らは僕の祖母が嫁入りした頃からすでに老人だったそうだ。一体何者だろう。店の前に張り込んだ僕は、数日後店の主人に見つかってしまった。「お前、どこの犬だい? 腹減ってるのか?」しまった、超能力者か!

2011年4月5日火曜日

K錠剤

#twnovel 料理の苦手な主婦に朗報!「K錠剤」発売。一日一錠飲ませるだけで、貴女のご主人は三度の飯よりカップラーメンが大好物になります。賢い主婦の味方、ラーメン大好きK錠剤! ※副作用として毛髪が縮れる場合がございますが、健康への影響はありませんのでご安心ください。

幸せの種

#twnovel 友人に幸せの種をお裾分けした。「1人を幸せにすると芽が出る。2人を幸せにすると花が咲く。3人を幸せにすると実がなるんだ。収穫したら他の人に配るといい」そう説明すると友人は顔をしかめた。「難しいな。3人にプロポーズして、バレずに3重生活を続けるのは」

怪談・お題「坂道/漏れ出す/携帯電話」

#kaidan_odai 「お荷物お持ちしましょうか?」坂道を登る後ろ姿に声を掛けると、白目を剥いた老婆が振り返った。「息子に繋がらなくてねぇ」位牌だ。老婆は携帯電話のように位牌を指で押していた。「息子に息子に息子に」虚ろに漏れ出す言葉が俺に向く。「息子に…」違う、俺じゃない。

hiro_kinakoさんは「坂道」で 登場人物が「漏れ出す」、「携帯電話」という単語を使った怪談を考えてください。 http://shindanmaker.com/94450 #kaidan_odai 昨日の。

幸せになれますように

#twnovel 彼は片言の日本語で、願いを一つ叶えてやると言った。幸せになれますように…漠然としてるな。日本が…いや、世界が幸せになりますように。彼は首を振った。「『背』か『胃』、どちらか決めてクダサイ。日本人は優柔不断ネ」呆気にとられ「は?」と答えると、歯の痛みが消えた。

2011年4月2日土曜日

恋愛・お題「深夜の車内/見つめ合う/靴」

#rendai 深夜の電話に叩き起こされ、彼女が車で待つ駐車場へ走った。「逢いたくなっちゃった。ごめんね、強引で」見つめ合うと怒る気にもなれない。「ドライブに行かない?」「このまま?」「このまま」。僕は足元を見た。「靴替えてきていいかな?」何でビーチサンダル履いてるんだろ?

hiro_kinakoさんは、「深夜の車内」で登場人物が「見つめ合う」、「靴」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927 #rendai

怪談・お題「プラットホーム/吐き出す/文字」

#kaidan_odai プラットホームの白線上に立つ男と目が合った。私はとっさに看板の文字を追う。5秒…10秒…。好奇心に負けて視線を戻すと、ゴボっ、と音がして男が血反吐を吐き出した。思わず目を背けた途端、男の姿は消えた。遠くから警笛が聞こえ出す。終電は去ったはずなのに。

hiro_kinakoさんは「プラットホーム」で 登場人物が「吐き出す」、「文字」という単語を使った怪談を考えてください。 http://shindanmaker.com/94450 #kaidan_odai

余震

#twnovel 「ここ数日余震が少なくなったね。治まってきたのかな、地震」「震災で工場が被害を受けて、生産量が落ちてるみたいよ」「何の?」「だから地震の」「冗談はやめれ」「冗談じゃないよ。点検整備が終わって今日から増産体制に入ったってさ」「言ってるそばから来た−」

2011年4月1日金曜日

エイプリル・フール2

#twnovel 嘘をつくと鼻が伸び、正直になると元に戻る。外から丸わかりなので注意が必要だ。「あなた、浮気してるんじゃないでしょうね?」「そんなわけあるもんか」しまった、鼻が伸びた。「不安にさせてごめんな」よし、戻った。仕上げに彼女の瞳を見つめて一言。「愛してる」また伸びた。

エイプリル・フール1

#twnovel 嘘発見器の挙動がおかしくなった。製造元に問い合わせると担当者はこう言った。「カレンダー機能が内蔵されていましてね。エイプリル・フールの日は嘘に反応しなくなるんですよ」なるほど。数日後、リコールのお知らせが届いた。え、あれ嘘だったの!?