2011年10月9日日曜日
優柔不断
#twnovel 優柔不断の僕は、いくつもの店が並ぶフードコートが苦手だ。彼女は既にラーメンを運んできた。「伸びる前に決めてよね」こんなだからいつまでもプロポーズできないんだ。僕は決心する。「式場を見に行こう」彼女が固まった。あれ、決めるってメニュー?デートの行き先じゃなくて?
再会
#twnovel 学生時代の恋人と街で偶然再会した。一瞬、驚きの表情を浮かべる彼女。きっと僕も同じ顔をしたに違いない。「ママー」幼い声が彼女を呼んだ。言葉は交わせない。同伴しているお互いの家族に悟られないように僕らはすれ違う。「孫どころか嫁の顔も見れやしない」傍らで母が愚痴た。
他人の夢
#twnovel 「他人の夢に侵入するのは簡単なことさ」街で出会った男が嘯く。「睡眠時は誰もが無防備だからな。でも川は渡らない。その人の感情に流されたら戻れなくなる」夢にその男が出てきた。僕は抗議の意味を込め川を氾濫させた。…と言うのが、おねしょした時の言い訳に用意している物語。
幟
#twnovel 「ねぇ大将、外にある冷やし中華の幟、しまわなくていいの?」そう切り出す僕を、大将は待ってましたとばかりに満面の笑みで迎えた。「ウチの看板メニューを夏だけにしとく手はないって思いましてね。是非どうぞ」指された看板に目を疑った。「冷やし中華(Hotあります)」
ため息
#twnovel 前売り券を家に忘れてきたことに気付いた。仕方なく列に並びチケットを買い直す。「貴方って肝心なところが抜けてるのよねぇ」10年来の女友達が呆れたようにため息をつく。そんな顔するなよ。それにしても君が恋愛映画が好きだったとは意外だね。彼女がもうひとつため息をついた。
2011年10月1日土曜日
こっそり
#twnovel 過去が撮れるカメラが面白い。白髪の両親が若々しい姿で、ペットの老犬は子犬に写る。住んでいる2階建てのボロアパートが、以前は平屋だったことも写真で知った。恥ずかしいからと卒業アルバムを見せてくれない、付き合い始めたばかりの彼女をこっそり撮ってみた。…男だった。
なおらない
#twnovel 風邪がなおらない。医者に聞いても薬局でも、なおしかたは分からないと言う。私は必死に情報を集め、その甲斐あって風邪はなおった。良かった、熱が上がっていくのが分かる。直った風邪が仕事を始め、私は風邪をひいた。治るまでの間、大好きなあの人にうつされた風邪を堪能しよう。
代行
#twnovel 死を代行してくれる今際屋のおかげで人は不死を得た。やがて社会は老人であふれ、街から子供の姿が消えた。上がつかえているために入社50年を過ぎても係長にすらなれない、老人の老人による老人だらけの会社。死にたい。僕は今輪屋に転職した。いつか死ねるという生き甲斐を胸に。
ハザマさん
#twnovel ハザマさんは時の狭間に住んでいる。幼い頃から人生の節目に現れては、僕にアドバイスをくれる。その彼が、未来で僕が事故に遭ったと告げた。「信号無視の車にはねられたんだ」どうして事前に教えてくれなかったの? 彼は言った。「だって入院先の看護婦と結婚するんだぜ、お前」
2011年9月26日月曜日
2011年9月20日火曜日
匂いも伝えられる電話
#twnovel 「匂いも伝えられる電話ってあったら便利じゃね? 食い物屋は繁盛間違いなし、遠恋中のカップルにもきっと受けるぜ」「それ買っても電話してくんなよ」「何でよ?」「口臭電話って言われたいのか」
思い出フリマ3
#twnovel 不要になった思い出を持ち寄る思い出フリマ。幼すぎたが故に別れてしまった淡い思い出を抱え会場を訪れると、見覚えのある彼の姿が。私だと気付かない彼。非売品と言われた彼の思い出が気になる。「そちらの思い出と交換なら」彼の申し出をやんわり断る私。「私のも非売品なんです」
思い出フリマ2
#twnovel 不要になった思い出を持ち寄る思い出フリマに、捨てきれない昔の恋を出品した。学生時代のありふれた恋愛ごっこだ。誰も見向きもしない。「これ、お幾らですか?」聞き覚えのある声に顔を上げて息を呑む。「すみません、これ非売品なんですよ」平静を装ってそう答えるのが精一杯。
思い出フリマ1
#twnovel 不要になった思い出を持ち寄る思い出フリマ。別れたの恋人との日々や、大切な家族との離別の悲しみなどが並び、感情の疑似体験を求める人々で賑わう。時効前の殺人犯の思い出を買ったミステリー作家が自責の念に苛まれて自首したことから広く知られるようになった。不定期開催。
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