2011年8月20日土曜日
2011年8月12日金曜日
終わりの時まで
#twnovel 終わりの時まで傍にいて、と君は囁いた。わかった。それなら最期の時には傍にいて、と僕は応える。二人に終わりが来るかなんて、今の僕らには分からない。けれど最期の瞬間は誰にでも必ず訪れる。だからその時は君の顔をみつめていたい。
2011年8月10日水曜日
僕のせい
#twnovel 僕のせいじゃない。この呪文を貼り付けながら、辛うじて自我を保ち続けてきた。世の中の出来事は僕などが及びもしない意思によって形成されていて、だからそれは僕のせいじゃない。自我はやがて崩壊するものだと思っていた。「あなたのおかげ」君の口から出た一言。僕は解放された。
2011年8月9日火曜日
恋の薬
#twnovel 彼女への想いが叶わないもどかしさに悶々とする俺に、友人が小さな包みをくれた。聞けば恋の薬だという。機会を見計らって彼女の飲み物に混ぜたが何の変化もない。媚薬じゃなかったのかと尋ねると友人はため息をついた。「あれは恋を冷ます薬だ。彼女じゃなくてお前が飲むものだよ」
秋
#twnovel 通販で秋が売られていることを知った私は、一も二もなく飛びついた。ウンザリしていた夏の暑さともこれでサヨナラだ。1時間後、ようやく繋がったフリーダイヤルの向こうでお姉さんは私にこう告げた。「ただ今ご注文が殺到しており、お届けまで2ヶ月ほどかかります」
夢に君が出てきたよ
#twnovel 夢に君が出てきたよと言うと、決まって「夢じゃなくて会いに来てよ」と文句を言われた。崩れかけた石段を登り振り返れば凪いだ海が広がる。花を手向けつつ、夢に君が出てきたよと呟いてみた。蝉の大合唱が一瞬だけピタリと止んだ。「会いに来てよ」の言葉はもう聞こえない。
2011年8月5日金曜日
気持ち
#twnovel 「恩師にごちそうになったんだ。そのお礼みたいな感じで年末にお歳暮を贈ったら怒られてね。気持ちだけでいいんだ、無駄に金を使うなって」「いい恩師じゃないか」「だろ。だからお中元は金を掛けずに気持ちを送ったよ」「手紙でも書いたのか?」「いや、先方宛に代引きで注文した」
2011年8月4日木曜日
2011年8月2日火曜日
父の職業
#twnovel 父の職業が何なのか、私は知らない。でもそれがどんな仕事であっても、父を尊敬する気持ちは変わらない。男手一つで私をここまで育ててくれたのだから。「まさかあの真面目そうな男が人さらいだったとはね。娘も不憫だよ。もっとも、彼女もさらってきた子供の一人だって噂だがね」
不安
#twnovel 手術のことで不安がおありだとか。入院中に社会から置き去りにされるのでは、という不安も分かりますが、どうか焦らずに。人生どこでどう転ぶか分かりません。私だって医師免許を持っていないのに、現にこうして医者としてやれているんです。さて、ご安心いただけましたか?
ドキドキ
#twnovel 「ドキドキしたね」満足げな表情の彼女が眩しいのは、目が明るさに慣れていないからかそれとも心理的な現象か。「映画館は昼間から夢を見れるから好き」なるほどね。僕は隣にいるのに顔も見えない映画デートはあまり好きじゃないんだ。カフェで向き合っているほうがドキドキだよ。
花火
#twnovel 花火見物に集まってくるのは、なにも生きている者とは限らない。あの大きな音と光の中、草葉の陰でおとなしく寝ていろというのも酷な話だ。死者は群衆に紛れ、夜空に咲く大輪の花に現世の思いを甦らせる。風のない真夏の夜、冷たい風が首筋を撫でたら、彼らにそっと「おかえり」と。
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